鮎川哲也『翳ある墓標』(光文社文庫)読了

 本日の読了本は、鮎川哲也『翳ある墓標』(光文社文庫)、読み終えたのは昨晩で、引き続きの昭和ミステリー。

 鮎川哲也といえば、長編はドラマにもなっている鬼貫警部ものと星影龍三ものなのだが、本作はそのどちらでもないものが二作あるそうで、そのうちの一作がこれ。初出は1962年。

 トップ屋集団「メトロ取材グループ」の男女2人の記者がインタビューしたホステスが翌日死んで発見される。
 そのホステスの死を不審に思った女性記者映子は、その真相を追うのだが、しかしその彼女も無関係と思われる名古屋で殺される。

 そして、同僚の記者杉田とメトログループの面々が、真相を求めて西走東奔する。
 基本的にアリバイトリック破りの本格ミステリ。

 現在は使われない「トップ屋」や本格的なマイカー時代の到来一歩前の時代背景が興味深い。
 しかし、この時代の作品はやたら伊豆方面が関わってくるのも面白い。

 正直なところほんの少し強引な部分を感じないでもないが、地道な調べで少しづつ真相に迫る部分はいい。

 もう一作、異色短編「達也が嗤う」も収録。こちらの結末は、おそらく知る人ぞ知る驚きのもの。一気に読み終えた。

 引き続き同時期の作品へ突き進むのであった。

結城昌治『暗い落日』(講談社文庫)読了

 前の『細い赤い糸』に続き昭和ミステリー、結城昌治『暗い落日』(講談社文庫)読了。

 初出は1965年で講談社文庫は1991年に出た、この時期のものは現在本当にお手頃でゲットできる。そんな事情あって、しばらくこの方面へ進む予定。

 日本ハードボイルドの嚆矢の一つと言われる私立探偵真木シリーズの第一作。
 元警察官の真木は、田園調布の実業家磯村から行方不明の孫娘乃里子を探す依頼を受ける。
 乃里子は、元チンピラの恋人吉井がいたが、彼も行方がわからなくなっていた。

 真木が動き始めると、市川とつながるバーの女、そして市川の父親が殺される。その背後に乃里子と思われる女性が現れては消える。
 やがて、磯村家の背後に横たわる暗い闇が浮かび上がってくる。

 舞台となった高度成長期は、高揚感があったのかと想像していたが、本作にはそのイメージは感じられない。
 タイトルの暗い落日が、読むものの心にも染みる。

 金持ちの娘の失踪に端を発する物語は、ロス・マクドナルドの『ウィチャリー家の女』の日本版と言われていることは知られているらしい。
 著者は、そのトリックに不満をもって、本作を書いたとのことであるが、残念ながらそれを読んでいない。

 他の真木ものを読んでないため何とも言えないが、主人公のキャラクターの孤高感は、若干うすい。
 できれば早めに後の作品も読みたい。このあときっとボイルが進むことを期待している。

飛鳥高『細い赤い糸』(講談社文庫)読了

 手頃な値段で入手できることもあって、ここのところ昭和期ミステリーに読書が集中している。

 昨日は、昭和37年(1962)の推理作家協会賞受賞作、飛鳥高『細い赤い糸』(講談社文庫)読了。

 汚職を疑われる役人、強盗犯、OL、医師、それぞれ後頭部を殴られて殺されるという事件が4件、現場には、細い赤い糸が…。
 被害者の間には何のつながりも見いだせない。

 あまりに繋がらない被害者たちの背景、それでも同一犯であることを前提に操作する刑事たち。こちらもそのつもりで読むのでどういうふうにまとめるのか気になってページを捲る速度もアップ。

 というと、展開も派手になって…ということはなく、抑えた調子で淡々と悲しい結末へ向かって進んでいく。

 4つの事件とその結末は、高度成長をむかえた当時の首都東京が透けてみえる。
 大作ではないが、しっかりと読みごたえのあるいい作品だ。

 間もなく、結城昌治『暗い落日』も読み終える。

半村良『獣人伝説』(ハルキ文庫)を読了

 11月も半ばになって、いろいろドキドキのスケジュールの予感。
 ここから先がどのくらいバタバタになるのか…という緊張感もあって読書の集中力がアップ。

 半村良『獣人伝説』(ハルキ文庫)を読了。
 獣人などとおどろおどろしいタイトルなのだが、その響きほどエロやグロはなし。

 伊東のホテル目覚た神崎順一郎、しかし彼にはそこまで来た覚えがない。そして、彼のポケットにはGODと記された無敵のカードが…。
 この日から、神崎はある人物たちの尾が見えるようになった。その尾は、三角の先を持ち、いわゆる悪魔の尾だった。
 人間社会に巣食う悪魔を狩る神の使徒となった神崎は、財界・政界の実力者を血祭に挙げていくのであった。
 しかし、敵も黙ってはいなかった。

 善と悪の対立を描く半村良の得意とする伝奇ロマン。
 代表作『妖星伝』などに比べるとスケールもボリュームも小粒ではあるが、シンプルで読みやすい作品。
 少しばかり、物足りない感がなきにしもあらず。

日影丈吉『多角形』(徳間文庫)読了。

 昨夜、時々寝落ちしながらなんとか読み終えたのがこれ、日影丈吉『多角形』(徳間文庫)。
前に読んだ『非常階段』に引き続きの日影作品。

雑誌編集者の落合は、投稿された無名の作家の未完の作品を読んで、その舞台である伊豆へ。
そこでその小説の筋に合わせ、不明な部分を埋めるように事件が起こる。
物語は、落合とその後登場する地元新聞の記者、酸本が精神分析医に語った内容として展開する。

そこらあたりも虚実の境が曖昧する持ち味が発揮されている。
ただ、すこしばかり詰めが甘いのか、こちらが読みきれてないのか…。

終盤は、落とし所をうすうす感じながら読み進めることになった。
ただ、そこは『非常階段』同様にらしいといえばらしい。
初出は1965年。

坂口安吾『不連続殺人事件』(双葉文庫)と日影丈吉『非常階段』(徳間文庫)を読了

  久しぶりの好天の週末の上に3連休だったが、細かな自宅作業ありだった。
初日に近所に買い物と昼食を摂るために出かけただけで、なんとなくダラ〜っと。
一応、温故知新読書の坂口安吾『不連続殺人事件』(双葉文庫)と日影丈吉『非常階段』(徳間文庫)を読了。

『不連続殺人事件』は、純文学サイドからの殴り込みということの上に犯人あての懸賞までかかったいわくつきの作品。
「探偵小説」を読み始めたころ読んだような記憶があったのだが、内容について記憶がない。
古書で買うだけ買って読んでなかったのかも…。
お話は、地方の大家に招かれた作家・芸術家たちが殺されていく。その数は結構多い。
それは、登場人物が多いことともつながっているのかも(ネットを検索すれば相関図が出て来る)…懸賞もあるし、一見ややこしくするのが狙いか。
そのうえ、その数多い死が日々の出来事化していて、暗さがない。ただただ犯人当てのために作られた展開に引っ込まれて行く感じ。

面白くなくもないが、ちょっと集中力を欠くとページを戻らねばならなくなる。色んな意味で問題作。
ちなみに、昭和24年、第2回「探偵作家クラブ賞」長編賞を受賞。

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ジム・ケリー『凍った夏』(創元推理文庫)を読了

 この時期になっても2周続きの週末台風。引き続き雨で仕事に一つの予定が組めずの状態。
 そんなこともあって、今ひとつピッチが上がらなかったがジム・ケリー『凍った夏』(創元推理文庫)を読了。
英国本格ミステリー、地方新聞記者フィリップ・ドライデンものの第四作。
 これまでの3作も派手さはないがとても手堅くまとまっていて読み応えがあった。

 今回は、冷え込むスコットランドの冬にアパートに一室で住人が凍死する。その状況を不審に感じたドライデンは、調査を始める。
 続いて死んだ男の孤児院時代の友人も状況は違うが凍死、二人は休暇村で起こった殺人事件の犯人の冤罪に絡んだ証言をするはずだった。
 そして、ドライデンの住居である船に侵入者が…。

 少年時代のドライデンの苦い思い出と事件が結びついて、登場人物に複雑に絡んでくる。
 ただ、ドライデンの少年時代と冷え込むスコットランドの冬の風景がちょっと詩的に描かれて文学の香りさえもほのかに…。

 なかなか手堅い良いシリーズだ。次作が既に楽しみになっている。

M・ヨート/ H・ローセンフェルト『白骨』(上)(下)読了。

 スウェーデン・ミステリー、犯罪心理捜査官ゼバスチャンシリーズの3作目『白骨』()()。
『怪人ジキル』の前に読み終えていたのだが、その筋の話題の書『怪人ジキル』を優先してしまった。

今回の事件は、トレッキング中の女性が見つけた6体の白骨死体から話が始まる。その頭蓋骨には銃弾による穴が…。
セバスチャンら殺人捜査特別班が現地へと早速駆り出される。死体は子供らしき2名を含むものだが、身元はわからず、謎は深まってゆく。

なにやら猟奇的大量殺人か…と盛り上がるのだが、ストーリーはチームのヴァニアとセバスチャンの関係を中心にメンバー内の様々葛藤が挿入されるのと、事件の元と思われるムスリム移民関連の展開が細切れになってさっぱり落ち着かない。

これまで、セバスチャンの嫌キャラで引き回していたのだが、今回はそれが効いてこない。キャラの魅力減少で黄色ランプ点灯中となった。
風呂敷を広げた6人の殺人の捜査も尻すぼみ気味で、思いの外あっさりと風呂敷がたたまれてしまう。
どちらかと言うとチームの人間関係がメインで殺人事件がサイドストーリーのようだ。本末転倒、これでは当方は愉しめない。
映像化を意識した展開になっていて前作と比べるとかなり、読ませないものになってしまった。
最後の最後がトンデモ的に終わっているのも映像的なるものの典型か…。

とりあえず読み終えはしたが、かなり残念な印象。
次が大丈夫か心配だ。

盛林堂ミステリアス文庫 波野次郎『怪人ジキル』読了

 盛林堂ミステリアス文庫 波野次郎『怪人ジキル』読了。
う〜ん、???????。トンデモ本と知っていて読んでも言葉が出ない。全くもってお手上げ。

ストーリーを紹介する気さえ萎える。ブッ飛んでいると言えばぶっ飛んでいる。
あまりに適当というか、いい加減と言うか…面白くないと言えば面白くない、
可笑しいと言えば可笑しい。

前半のジキルが後半に活かされていないまま、突然殺人〇〇スへ、こちらの脳内処理がついていかないほどの危ないシロモノ。
表紙、豊富な挿画ともにヘタヘタ(ヘタウマにならず)で、ストーリーをイメージさせることに全く役に立っていない。
もう?マークの大行進。何よりもどういう経緯でこの本が出たのかがミステリー。

ネタ元になったカミの作品は未読なのでなんとも言えないが、もう少し上手く処理されてるんじゃないかと思い。
なんとなくうまく翻案出来ている感はうすい。こちらを是非もので読んでみないといけない。

なにはともあれ、この本を発掘した古書山氏、そして復刻出版した盛林堂さんに感謝?
あとがきに挙げられたうち、個人的に『発酵人間』を推す(笑)。

マイクル・コナリー『ブラックボックス』(上)(下)(講談社文庫)読了

 ずっとFacebookでしか日常をアップしていないかったのだけど(Blogだとレイアウトが面倒くさいので)、久しぶりに更新してみることにした。

ちょっとづつ振り返って以前のFBのネタもアップすることもありか…?

昨日、マイクル・コナリー『ブラックボックス』()()(講談社文庫)を読了。
アメリカ本国でボッシュ・シリーズ誕生20周年の記念すべき作品。

今回の物語は1992年のロス暴動が発端となっている。
暴動の対応にあたるロス市警のボッシュらにもたらされたデンマーク人女性ジャーナリストの死。
それは、やがて時間の中に埋もれてしまうが、未解決事件としてふたたびボッシュの目の前に浮上してくる。
いつものように自分のやり方で事件を追うボッシュ。

ボッシュの捜査の先に現れたのは、湾岸戦争で中東に派遣された兵隊たちだった。
まあ、いつものようにアメリカのダークな面が読むものにさらされてエンディングを迎える。今回はちょっと、あっけない感じがあったが、最後の最後のボッシュの言葉が重いシリーズ16作目。
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  • Author:KsbcKSBC
  • 不惑の年をとうに過ぎてしまったオヤヂのモノローグ
    日々是、思いのままにならぬことばかり。そんなオヤヂの日々。

    読んだ本、手に入れたCDからフライフィッシング、サッカーなんかについてだらだらと…。
    ちなみにMacユーザ歴は20年ですが、最近はめっきり…。

    読んでいただいてありがとうございます。せっかくですから、何か書いていっていただければ幸いです。
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