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A.カヴァン「氷」読了

fidelma_5.jpg  W杯南ア大会は、ひいきのオランダとスペインの決勝。オランダには残念な結果となったが、前回大会とは違い、サッカーの神は席を外していなかった。
 今大会の出場チーム中最も美しいサッカーを披露したスペインが優勝し、前回の優勝者イタリアは予選リーグ最下位という見事な成績で大会を去ってくれた。

 個人的には、ウルグアイのどんな相手にも自分たちのスタイルを変えないサッカーが心に残ったし、好きではないが、新旧交替・人種混合で作り上げられたドイツのサッカーも新しいサッカーを感じさせるものだった。といったところで4年後も同様に我々を楽しませて欲しいと願うばかりである。

 W杯終わり、Tour de Franceはケーブルの有料チャンネルでないと中継がほとんど観られないうえに、少し仕事も落ちついたので、読書の時間が戻ってきた。
 そこで、一気に前回の2冊を読み終えたわけであるが、引き続きアンナ・カヴァンの「」(バジリコ)を仕事帰りの電車内で読了。これは、駅前の○ook Offで950円でゲット。その昔、サンリオSF文庫で出ていたマニアックな作品であるため、見つけた時にそうそうに購入したもの。

 作者のカヴァンは、人生の多くの時間をヘロインと一緒に過ごした作家で、その孤独な死が明らかになった時、彼女の傍らにはヘロイン注射器が置かれていた…との事である。SF作家のB.オールディスの文章もついており、そのなかでオールディスが彼女の作品をSFだと言われるまで、その自覚はなかったらしい。
 もちろん、厳密な意味でSFかと言われれば、SFとも言い切れないし、その昔SFをスペキュレイティブ・フィクションと呼ぼうといった時期があったが、まさしくそういう内容の作品だ。

 世界が異常な寒波に襲われ、次第に氷に閉ざされていき、国際情勢は不安定で紛争が各地で起こっている。そんな世界の名も無き小国に潜入し、姿を消した愛する「少女」を探す「私」とそれを阻止しようとする独裁的支配者「長官」の名前もない3名が主な登場人物。
 なぜ世界がそうなったのか、具体的に世界がどのような状態に陥っているのかも一切語られることもない。ただひたすら、「私」が「少女」を追い続ける様子というより幻視的ともいえるビジョンが描かれていく。

 そのひたすら破滅へ向かって突き進む世界は、フランスのヌーベル・ヴァーグ映画や東欧のアヴァンギャルド映画のテイストをさらにスタティックにしたようなタイトル通りの「氷」のような冷気漂う世界(何を言おうとしてるんだか)。
 破滅へ向かうフィナーレにより不思議なカタルシスが訪れるというトンでもない作品。

 オールディスらのNew-Wave SF一派に高く評価され、1967年のSF小説の最高傑作にあげられた作品でことからも、その辺の作品をご存知の方ならお分かりいただけるんではないかと…。まあ、どなたにでもお奨めできるというような作品ではないことは確かだ。

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学

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  • Author:KsbcKSBC
  • 不惑の年をとうに過ぎてしまったオヤヂのモノローグ
    日々是、思いのままにならぬことばかり。そんなオヤヂの日々。

    読んだ本、手に入れたCDからフライフィッシング、サッカーなんかについてだらだらと…。
    ちなみにMacユーザ歴は20年ですが、最近はめっきり…。

    読んでいただいてありがとうございます。せっかくですから、何か書いていっていただければ幸いです。
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