M.ディヴァイン「兄の殺人者」読了と読後放置本2冊

My brothers killer.jpg ここのところBlogの更新については、完全に怠けていたと言っても過言ではない状態だ。読書も以前ほど読めていないのが正直なところではある。

 昨晩、M.ディヴァインの「兄の殺人者」(東京創元推理文庫)を読み終えたのであるが、実のところその前に2冊、M.バー・ゾーハー「ベルリン・コンスピラシー」(ハヤカワミステリ文庫)とB.ラムレイ「地を穿つ魔」(東京創元推理文庫)の2冊を読み終えたまま放置していたのである。


 流石にここらで書いておかないとあとが厳しくなるし、なるべく記憶が新鮮な時に書かないとオヤヂは時間を置けばおくほど書きづらくなるので…。ひと踏ん張りというところか。

 まずは、昨晩何度か意識不明になりながらも読み終えたM.ディヴァイン「兄の殺人者」から。本作は、かのA.クリスティをうならせたディヴァイン1961年のデビュー作。

 今はなき社会思想社の現代教養文庫で出ていたものをこのたび東京創元社が復刊、さっそく新刊にて購入したもの。


 ストーリーは、弁護士事務所を営む兄オリバーに 呼び出されたサイモン(彼も弁護士)が、事務所で殺されて間もない兄の死体を事務所で発見する。何故、誰に兄は殺されねばならなかったのか…。サイモンはその謎解明に取り組むことにする。

 やがて、兄にはサイモンの知らない裏の面があることが判明、さらに恐喝をしていたのでは…という証拠が出てくるのだった。


 このことが原因ではないかという方向に行くのであるが、サイモンにとって意外な人物が容疑者として拘束されるが、その人物が犯人とは思えず、兄のアシスタントと部下の弁護士とともに本格的に捜査にあたる。

 そしてみえてきたのが、兄の共同経営者、兄の妻、そしてサイモンの別居中の妻など身近な人間の思惑が絡んで…。


 とにかく、よくできたストーリーで本当に最後まで飽きさせない。真犯人が一体誰なのか?そしてどうやって兄は殺されたのか、興味がつきない。登場人物も強烈とまでは行かないまでもそこそこ魅力的。この結末へ至るには程よい長さで ビシッとまとまっている。納得の一冊。


My brothers killer.jpg お次は、M.バー・ゾーハー「ベルリン・コンスピラシー」、これはTwitterで面白いとの情報があったので、新刊にて購入。5月の半ばから末にかけて読み終えていたもの。

 実に久しぶりのバー・ゾーハーである。その昔、「エニグマ奇襲指令」と「悪魔のスパイ」あたりを読んだことがあるが、そのタイトル通りナチスがらみのスパイ小説(エスピオナージ)の大御所?の新作。


 バー・ゾーハー自体久しぶりだが、このての冒険?小説もずいぶんと久しぶりな気がする。さて、ストーリーは、ロンドンにいたはずのユダヤ人実業家ルドルフ・ブレイヴァマンが目覚めるとそこはベルリンのホテルで元SS将校殺しの罪で逮捕されてしまう。

 そう、ブレイヴァマンは、ユダヤのパルチザン戦士だったのである。


 彼を救おうとベルリンに駆けつける息子ギデオン、訴追する立場の女性検察官マグダに、隠れ国粋主義者の首相、アメリカ大使館員、さらにはブレイヴァマンの同士だったイギリス諜報機関員などなどが絡んでくる。

 実際のところブレイヴァマンの運命はどうなるか…というよりもドイツとアメリカ、そしてEUがこの件の落とし所はどこになるのかが、ひとつの結論。


  エスピオナージといえば、全体にただよう緊張感とスリルとアクションというイメージが有るのだが、思いのほか地味な展開。ブレイヴァマン父子の心の絆とマグダの生い立ちとブレイヴァマンの関わりという人間ドラマがポイント。

 そして最終的に事件を操るのは…。


 読んでいる間は、十分に楽しませてはもらったが、この世界情勢のなかでは、盛り上がりを欠く展開にならざるを得ないのかも知れない。今後は、多分経済・金融の分野を入れ込んだ形でこの手の小説が書かれることになるんだろうな。


titus_grow1.jpg 最後は、H.P.ラヴクラフトが生み出し、多くのフォロワー?がその後を継いだ“あの神話体系” のひとつであるB.ラムレイの「地を穿つ魔」である。これは、Book ◯ffで450円にてゲットしていたもの。これまた久しぶりのクトゥルー神話ものである。前に読んだのはいつのことかも記憶にない。ここのところで読んだもので言えば、近いというか彼らの先人ともいえるホジスンが、近いといえば近いものということになるなぁ。


 本作は、人気のオカルト探偵タイタス・クロウシリーズの一冊で、エピソードとしては最初期のもの。人気のシリーズという声もあって、どうせ読むなら時系列でと本作にとりかかったのだが…。


 意外にもクトゥルー的なおどろおどろしさがない。がっかりといえばがっかりである。書かれた年代が60年代ということもあり、流石にラヴクラフトの神経を逆なでするような不気味さを醸し出す背景ではなかったのか…。そこらが微妙な評価につながっているのだろう。


 舞台は、イギリス。イギリスに向かって来るように地震が発生する。そして、アフリカの奥地から戻った探検家の住まいの建つ土地が陥没し、探検家が行方不明になり、その甥のオカルト作家も消える。

 それに合わせるようにクロウの身辺でも怪しい事象が起こり始める。


 この「怪しい」が何によって引き起こされているのかにいち早く気づき、これに対抗しようとするクロウと相棒アンリであったが、地を穿つ古の魔との戦いにはいささか微力であった。


 そして、アメリカはミスカトニック大学のピースリー教授をはじめとするクトゥルー眷属との戦いを密かに進めるウィルマース・ファウンデーションのメンバーが加わって、地を穿つ魔ことシャッド=メルとの戦いが幕を開けるのであった。


 どうも手記や書簡形式での展開が平板で盛り上がりを書いているのか、読んでいていまひとつ話に引き込まれないまままだった。背景や出来事の描写にやたら文字数を食っている感じもあって、楽しめなかった。

 本作は、クロウの初登場なのに彼の人となりも十分説明されているとは言い難いし…。まあ、機会があれば次エピソードを読んでみての評価としたいので、本作の評価は保留としたい。


 これで、なんとか読了本とBlogの更新がシンクロした形となった。この間もバージェスなどチョロッと手をつけて保留状態のものもあるのだが、お次はタイトルにヤラれてしまったP.マッコルラン「恋する潜水艦」だ。


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

マイケル・バー=ゾウハーといえば、昔は、鮮やかな「どんでん返しの作家」というイメージがあったのですが(「過去からの狙撃者」「エニグマ奇襲司令」「ファントム謀略ルート」「パンドラ抹殺文書」……どれもこれも面白かったなあ、地味だったけど)、今ではどうなんですかねえ?

それと、バー=ゾウハーって、まだ生きていたんでしたっけ?どうも記憶が……。
Profile

  • Author:KsbcKSBC
  • 不惑の年をとうに過ぎてしまったオヤヂのモノローグ
    日々是、思いのままにならぬことばかり。そんなオヤヂの日々。

    読んだ本、手に入れたCDからフライフィッシング、サッカーなんかについてだらだらと…。
    ちなみにMacユーザ歴は20年ですが、最近はめっきり…。

    読んでいただいてありがとうございます。せっかくですから、何か書いていっていただければ幸いです。
Calendar
10 | 2017/11 | 12
sun mon tue wed thu fri sat
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
Twitter
 
Categories
Tree-Arcive
Links
Recent Comments
Search inside