R.マシスン「奇術師の密室」+「ある日どこかで」読了

Hello Summer, Goodbye ここのところ見えないスケジュールに振り回されて、少しだけバタバタ。「年度末近し」を痛感する日々(これは前に書いたな)。
 そのうえ、TVが壊れたりとちょっとしたハプニングもあって、読み終えた2冊が書けないままになっていた。

 で、その2冊、リチャード・マシスンの「奇術師の密室」(扶桑社ミステリ)と「ある日どこかで」(東京創元推理文庫)である。どちらもいつもの駅前Book ○ffで、250円にてゲットしたもの(最近は、ピンピンの最新刊でもない限りここでゲットが定番化しつつある…これはいいのか、悪いのか)。
 マシスンといえば、スピルバーグの「激突」やホラー映画の「ヘルハウス」の原作者としても有名であるが、実際はなかなか多彩な作風を持っている。
 この2冊も全く違ったタイプ。

 「奇術師の密室」は、晩年に近い時期の後期の作品で、タイトルに密室とある通りミステリなのである。しかし、これが不思議な「密室」なのである。ここで、タネは明かせないが、「心理的」密室パターンというんだろうなぁ。
 でも、それにとどまらないひねりにひねったストーリーである。

 物語の語りは、自らのマジックに失敗し全身マヒとなって引退を余儀なくされた往年の大マジシャン。車いすの上でさながらマネキン、いや植物のような日々を送っている。
 その屋敷には、2代目である息子とその妻、そして妻の弟とともに暮らしているのだが、ある日息子のマネージャーが、息子と妻に別々に呼ばれやって来るが…。

 息子、妻、その弟とさまざまな思惑がからみ合って、何もできない老マジシャンの目の前で、殺人マジックショーが展開する。いったい誰が殺され、誰が犯人なのか…、やがて地元の保安官も登場して、さらにこんがらがってくる。
 いやいや、とにかく不思議な心理戦が展開していく。

 マジシャンである父親さえもだまされる目まぐるしい展開。おいおいこれじゃ「タモリの今夜は最高」の毒殺された男がいきなり起き上がり、「実は…」というお笑いパターンになりそうだ。しかし、これが絶妙なバランスで緊張を保っている。
 その緊張が次々とページをめくらせてくれる。一気に読めること間違いなしの快(怪)作。

 「ある日どこかで」は、あの今は亡きスーパーマン俳優、C.リーブ主演で映画化されたこともあり、宝塚でもミュージカル化された作品である。
 映画化された時は、SFファンの間でもじりじりと評価をあげ、かなりマニアックな映画となっていたことを覚えているが、未見。
 小説の方は、その映画のこともあってかなかってか、世界幻想文学大賞を受賞した知る人ゾ知るの名作といわれていた。

 主人公リチャードは、脳腫瘍で余命半年と診断され、兄のもとをはなれて一人旅に出る。その途中、サンディエゴのホテルのホールでエリーズという女優の古いポートレートに遭遇する。
 たちまち恋に落ちたリチャードは、1896年への時間の旅に出ようとするのであった。

 なんという大胆な方法で時間旅行をしてしまうんだろう…、この際時間旅行の手段は問題ではない。
 出会った二人は、運命に導かれる様にたちまち恋に落ちるのであるが…幸せな時間は短い。実に切なく、そしてはかなく美しいラブストーリーである。ちょっとジンとさえさせる、まさしく名作といえる作品である。

 現在は、森福都の最新刊(ちょっとタイトルが恥ずかしい)に進攻中。

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学

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  • 不惑の年をとうに過ぎてしまったオヤヂのモノローグ
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    読んだ本、手に入れたCDからフライフィッシング、サッカーなんかについてだらだらと…。
    ちなみにMacユーザ歴は20年ですが、最近はめっきり…。

    読んでいただいてありがとうございます。せっかくですから、何か書いていっていただければ幸いです。
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