J.G.バラード「溺れた巨人」読了

Impossible Man and Other Stories  前の週末は仕事、明日は5時過ぎ起きで鈴鹿へ日帰り出張である。ここのところの朝の冷え込みと連日の疲れかなんだかすっきりしない。
 とりあえず、今日は早めにあがることにしよう。

 で、さぱり進んでいなかった読書であるが、昨晩J.G.バラード「溺れた巨人」(創元SF文庫)を読み終えた。これは、今月初めに駅前の古書店で390円で入手したもの。
 本当に久しぶりのバラードである。高校時代に「結晶世界」を読んで以来か…。創元のバラードものは、少し前は入手が難しかったような気もしたが、最近は何冊かがカバーを今風に変更して出ているようである。
 これもその一冊というわけだ。

 さて、この「溺れた巨人」は、本国英国で1960年代に出された初期の短編集である。New Wave SFの旗手といわれ、SF界を席巻したバラードの初期の作風を知ることが出来る作品を集めてある。
 過去に出たときの版を使っているので、活字が古くて小さく読み辛い、これは創元文庫の旧作の出し直しにはありがちなこと。あとがきの追記部分と思われる部分の数行は、新しい活字でその部分は読みやすい(笑)。

 どの作品も終末感が全体を覆い、SFというより幻想文学的な香りが漂っている。
 冒頭の表題作「溺れた巨人」は、どことも知れぬ海岸に流れ着いた巨大な人類の死体の変遷を描くだけ、彼が何者でどこから来たのかはいっさい語られることはない。

 自転しなくなった地球の夜と昼の挟間地帯にやってきて暮らす人物たちの人間模様、臓器移植で寿命を延ばした人間たちの死への願望、今でいうとヴァーチャルなゲームに置き換えられそうな映像ゲームにどっぷりと浸かてしまう日々を送る人々、あるときから人生が逆転し始めた世界等々。
 とにかく、SFというカラにとらわれることなくイマジネーションの羽を広げて、あり得ない世界を描き出す。

 決して明るく楽しい未来などやってこないが、それを不幸と思うか、受け入れあるあるがままに生きていくのかは、人それぞれ。幻想的で退廃的、ちょっとイタイ文学である。

 現在はうってかわって、楽しく痛快なP.G.ウッドハウスのジーヴズものに…。

テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

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  • 不惑の年をとうに過ぎてしまったオヤヂのモノローグ
    日々是、思いのままにならぬことばかり。そんなオヤヂの日々。

    読んだ本、手に入れたCDからフライフィッシング、サッカーなんかについてだらだらと…。
    ちなみにMacユーザ歴は20年ですが、最近はめっきり…。

    読んでいただいてありがとうございます。せっかくですから、何か書いていっていただければ幸いです。
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