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塩野七生「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」読了

 先日は待望のケッチャムの新刊が扶桑社の文庫ででたり、ここのところの読了本の多くが通常の書店での新刊購入となっている。次回はケッチャムの新刊だ。
Borsia この塩野七生「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」(新潮文庫)も新刊にて購入、本当は古書でよかったのだが、近所の古書店をいくつか巡ったのだが、ありそうな本にもかかわらず発見できなかった。Amazonなら1円であったのであるが、新刊で買っても530円とわりと安価なこととすぐさま読みたかったこともあっての結果である。
 実は、この作品は大学時代に読んだことがある。なぜゆえ再読ということになったか…。
 それは、惣領冬実のコミック・モーニングに連載中の漫画「チェーザレ―破壊の創造者」のおかげである。C.モーニングを購読しているわけではないので、まったくその存在を知らなかったのであるが、先日書店でコミックスの第3巻が発売になっていたのを発見、1~3までまとめて購入し、再度、この本を読む気になったというわけである。
 
 では、なぜチェーザレ・ボルジアなのか?
 それは、目的のためには手段を選ばずのマキャヴェリズムの具現者であったといわれる彼にその昔、強烈に興味をもったからだった。
 
 作品は、小説ともドキュメントとも評論ともいえない独特の筆致で、チェーザレという一人の現実を冷徹に見つめ、目的を遂げようとする男の半生を描いている。
 15世紀イタリアで聖職者である枢機卿の子として生を受け、やがて混迷する中世イタリアに自らの王国創設を目指したチェーザレ。
 その目的遂行に向ける意思と行動は、さながら生ける「君主論」だった。あの暗黒の中世イタリアにおいて彼は、真のリアリストであった。実に魅力的な人物だと思う。
 
 残念ながら、その志半ばで斃れるのであるが、その生き様は鮮烈かつ強烈である。
 大学時代の読後の印象は、それなりに面白かったといった感じであったが、今回はこちらが歳をとったためか、それとも歴史的、政治的な知識を身に付けたためか、さらに強いインパクトがあった。
 
 漫画のほうは、この本の物語以前のチェーザレが学生時代の頃の話で、まだまだ先は長そうである。漫画もイタリア人が書いた伝記を元にしたしっかりしたもののようなので、今後の期待は大である。

テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

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『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)塩野 七生 by G-Tools 塩野七生。 マキャヴェリの「君主論」のモデルとなったチェー...

塩野七生

塩野七生塩野 七生(しおの ななみ、1937年7月7日 - )は、東京都出身の作家、小説家。プロフィール東京都立日比谷高等学校、学習院大学文学部哲学科卒業。1963年からイタリアへ遊学し、1968年に帰国すると執筆を開始。雑誌『中央公論』掲載の『ルネサン

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これもこれで面白い本ですけど

塩野先生は彼よりも父親のアレッサンドロ法王のほうが絶対に魅力的だと断言しておられますな。

「神の代理人」におけるアレッサンドロ法王の章で、彼がやろうとしていたのは中世ルネサンス通して誰もやろうとしなかった「政教分離」ではないかという仮説を読んだとき、もしこれが正しかったとしたら、チェーザレは生涯ゲームの駒であって真のプレイヤーは法王ではなかったのではないかと思いました。
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  • Author:KsbcKSBC
  • 不惑の年をとうに過ぎてしまったオヤヂのモノローグ
    日々是、思いのままにならぬことばかり。そんなオヤヂの日々。

    読んだ本、手に入れたCDなんかについてだらだらと…。

    読んでいただいてありがとうございます。せっかくですから、何か書いていっていただければ幸いです。
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