G.カロフィーリオ「眼を閉じて」読了

一昨日の日中時間を見つけて久しぶりに書店へ、その時このジャンリーコ・カロフィーリオ「眼を閉じて」(文春文庫)がでているのを発見。前作がなかなか気持ち良い読後感があったため、迷わず購入。前日、やや不適合な作品だったこともあり、早速とりかかった。
気が付いたら、ページをめくる手が止まらず、アッという間に読み終えてしまった。
前作「無意識の証人」(文春文庫)と同じイタリアはバーリの弁護士グイードが、頼りなくも力強く(?)活躍するシリーズの第2作(ジェフリー・ディーバーも代絶賛)。
お話は、地元の有力者のバカ息子をストーカー行為と暴力行為で訴えようとする元同棲相手の女性を成り行きで弁護する事になるグイード。
作品内でグイード本人がいうようにイタリアの無名サッカーチームとマン・ユーの対決、もちろんグイードはマン・ユーではない。
当然のごとく、最初は旗色が悪いのだが…色々策をねるグイード。敵の作戦にもほころびが見えてくる。
とはいうもののこの裁判、全268ページの半分ぐらいしかないのである。弁護士として裁判を闘うグイードの姿は、それはそれで面白いのだが、このシリーズのメインは裁判ではない。
彼と彼を取り巻く環境や人々が織りなす人間模様とグイードの人間としての成長(?)の物語なのである。
今回は、強力なシスターが登場する。ひょっとすると彼女は今後も登場するんじゃなかろうか?
その他、作者カロフィーリオはほとんど同年代、また作中でグイードが聴く音楽がL.リード、R.E.M.などなど、結構いい趣味である。
事件は、非常に意外な形で結末を迎えるのであるが、悲しいなかにも精神的カタルシスが訪れる。この長さがぴったりなのかなと感じる。
蛇足ながら前作同様、表紙カバーのイメージと中身があっていないような気がしないでもないが…。それは私だけ?!
これで新刊620円は、お手ごろ価格。前作と合わせても充実の1310円だと思う。
次は、変態好き?ジャック・カーリーの「デス・コレクター」。