FC2ブログ

有馬頼義『四万人の目撃者』読了

 本日、打合せに向かう移動中のバスで有馬頼義『四万人の目撃者』を読み終える。
本作は昭和33年の日本推理作家協会賞受賞作品である。

シーズンも終盤を迎えたプロ野球、セネターズの4番新海がヒットを放ち二塁から三塁へ向かう途中に倒れそのままグランド上で死ぬ。
その死因は、心臓の発作とされたのであるが、四万人の観衆とともにその光景を目にしたセネタースのファンである高山検事。
どうしても腑に落ちないものを感じた彼は、新海の解剖と新海の背景にベテラン笛木刑事たちとアプローチを始める。
新海の妻、その妹、新海の出資する喫茶店のマネージャ、レジ係…多くはないが少なくもない、曰くありの関係者たち。

佐田啓二主演で映画化もされ、おそらく当時は話題作だったのだろう。
タイトルからして、チャレンジングだし、毒薬を特定できないうえに、その殺人の目的も見えてこない。
それでも高山検事のカンと経験で見えない犯人を追っていく。
もっとざっくりとした感じで展開していくのかと期待しないで読み進めたのだが、思いの外緻密にひとつひとつ事実を積み上げて事件の真相に迫っていくという意欲的な形となっている。

ドラフトもない頃のプロ野球を題材に今よりはるかに厳しい選手の待遇やチーム事情、一方で今と変わらぬ選手の心理と成績。
事件解決後、再びスタジアムでの野球で終わる。おそらく野球をテーマにしたはじめてのミステリなのでは…。

四万人の目撃者有馬頼義を初めての作品であったが、予想外にいろいろな面で愉しめた。
Profile

  • Author:KsbcKSBC
  • 不惑の年をとうに過ぎてしまったオヤヂのモノローグ
    日々是、思いのままにならぬことばかり。そんなオヤヂの日々。

    読んだ本、手に入れたCDなんかについてだらだらと…。

    読んでいただいてありがとうございます。せっかくですから、何か書いていっていただければ幸いです。
Calendar
06 | 2019/07 | 08
sun mon tue wed thu fri sat
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
Twitter
 
Categories
Tree-Arcive
Links
Recent Comments
Search inside