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結城昌治『死者たちの夜』、『犯罪者たちの夜』(角川文庫)読了

 ほとんど、電車での移動時と寝る前が読書タイムなのではあるが、そこそこ読書エンジンが快調に回っている。
 おそらく、読書モードが昭和ミステリモードに入っていて、そのジャンルはスイスイと走っていけてると思われる。
 一昨年から昨年にかけて一気に嵌って読み進めてきた結城昌治の深〜い?森であるが、今年に入りその数も30冊を超えてきた。とはいえ、怠けて感想を書いていないままになっているものも多い。

 で、この7月に入って時間を開けずにゲットできた短編連作「紺野弁護士シリーズ」の『死者たちの夜』『犯罪者たちの夜』を読み終える。
 主人公で語り手である”わたし”紺野は、中年に差しかかった独身男で、仲間数人とビルの一室を借りて営業する弁護士である。そして自分しか運転することができないほどポンコツの車に乗っている。
 『死者たちの夜』がシリーズ1で、『犯罪者たちの夜』が2となってはいるが、発表された順ではない、それぞれに収録された作品のテーマ…というか、内容に合わせて集められ、それにタイトルをつけた形である。
 収録されたどの短編も他の話との接点や関係はなく、どれから読んでも問題はない。一応『犯罪者たちの夜』のあとがきで結城昌治が、シリーズの終了を告げている。

 ハードボイルドといえばハードボイルドといえなくもないが、ジャンルとしてはそうなるか…。
 主人公を弁護士とすることで、事件に絡んでいく具合に現実感があって無理なく物語に入り込んでいけるのではなかろうか。
 そして、それぞれの物語に潜む人間関係ややりきれない背景が、じんわりと浮き上がって来るのである。
 アクションや殺人の様子が直接描かれることはない。無駄を削ぎ落とした簡潔な文章が、読むものの心に沁みる。

 2冊が手頃に揃わなかったが、もっと早く読みたかったと思う作品である。

笹沢左保『死人狩り』(平和新書)読了

 昨晩、笹沢左保『死人狩り』(平和新書)を読み終える。
 同世代の人は、このタイトルには多少の記憶があるのではないだろうか、そうでなくても柳ジョージ&レイニーウッドの「雨に泣いている Weeping In the Rain」が、ショーケン主演の同名ドラマの主題歌としてヒットしたことは記憶にあるだろう。
 中学〜大学2年までテレビ見ない族の当方は、残念ながらそのドラマを見ていないのであった。

 出版当時は、話題作だったのかも、高松英郎主演で『乗っていたのは二十七人』というタイトルでドラマ化されているようだ。

 27人を載せ西伊豆を走るバス、そのバスが事故を起こし伊豆の海に転落、乗っていた乗員乗客全員が死亡する。このバス事故は、フロントガラスに銃弾を打ち込まれたことが原因の殺人事件と判明する。
 誰を標的に26人もの無関係な乗客たちを巻き添えにしなければならなかったのか、恐るべき大量殺人の真相はどこにあるのか?
 事件を追う静岡県警の浦上刑事の妻と二人の子供もこのバスに乗り死亡していた。悲しみと怒りを胸に事件の真相を明らかにするため27人の犠牲者の捜査”死人狩り”に取りかかるのであった。

 なんと絶妙なタイトル、そして設定。
 浦上の捜査は、いくつもの空振りを繰り返し、一筋縄ではいかない犠牲者それぞれの事情をあぶり出していく。このそれぞれの事情が事件の真相と結びつくわけではないのに、グイグイとページを捲らせてくれるのだ。

 昭和40年当時の時代もあり、今どきピンと来ない部分もなくもないが、当時としては27人が殺されるという大量殺人は異色のミステリー。
 設定・展開とも文句なし、満足の一冊。
 どういうわけか、昭和ミステリーに対しては読書エンジンが快調に転わってくれているようだ。

笹沢左保『天を突く石像』(旺文社文庫)読了

 ここのところは雨続きの毎日、折角の連休ながら出かける気にもなれずで、近所への買い物程度の外出。
 この天候不順で、他のものもそれなりに読了しているのであるが、ちょっと残念だったこともあり、一昨日読み終えた笹沢左保『天を突く石像』(旺文社文庫)を…。

 日本がまさに高度成長期に突入した1964年の作品、建設会社に勤める大場の同僚、青山が妻と子供を捨てて資源開拓公団総裁の娘・原理恵子と結婚すると言い出した。
 青山、大場、青山の義妹、冬子の3人で原の邸宅を訪れるが、原総裁、理恵子とも青山のことは知らないという、青山は精神に異常なのか…。
 そしてその夜、青山は原邸の庭で総裁秘書を絞殺し、自殺したという。

 果たして青山の精神以上は真実なのか…疑念を抱いた大場と冬子は、その真相を探り出そうとする。
 東京、伊豆、そして秩父の山中へ、大場たちの捜査?は進み、事件の裏に隠されていた資源開拓公団のダム建設に関わる不正が見えてくる。

 そして、原総裁が現地秩父のダムに視察に、そしてその場で真相が明らかに…というあたかも、サスペンスドラマのようなフィナーレを迎えるのであった。

 実はこの旺文社文庫版は、カバーの裏のあらすじがまずく(このカバーイラストのセンスも昔とはいえ大いに?)、ネタばらしになっているため青山の異常を偽装と知りつつもどうなるんだという興味先行で、3分の1くらいまではグイグイと読み進められる。
 しかし、そこから先は事件の背景がばれているので、一気に気持ちが減速してしまう。

 高度成長期の公共事業と建設業界の闇みたいなところを描こうとしたんだろうけど、カバーのせいで読後感は、残念な感じとなってしまった。

有馬頼義『四万人の目撃者』読了

 本日、打合せに向かう移動中のバスで有馬頼義『四万人の目撃者』を読み終える。
本作は昭和33年の日本推理作家協会賞受賞作品である。

シーズンも終盤を迎えたプロ野球、セネターズの4番新海がヒットを放ち二塁から三塁へ向かう途中に倒れそのままグランド上で死ぬ。
その死因は、心臓の発作とされたのであるが、四万人の観衆とともにその光景を目にしたセネタースのファンである高山検事。
どうしても腑に落ちないものを感じた彼は、新海の解剖と新海の背景にベテラン笛木刑事たちとアプローチを始める。
新海の妻、その妹、新海の出資する喫茶店のマネージャ、レジ係…多くはないが少なくもない、曰くありの関係者たち。

佐田啓二主演で映画化もされ、おそらく当時は話題作だったのだろう。
タイトルからして、チャレンジングだし、毒薬を特定できないうえに、その殺人の目的も見えてこない。
それでも高山検事のカンと経験で見えない犯人を追っていく。
もっとざっくりとした感じで展開していくのかと期待しないで読み進めたのだが、思いの外緻密にひとつひとつ事実を積み上げて事件の真相に迫っていくという意欲的な形となっている。

ドラフトもない頃のプロ野球を題材に今よりはるかに厳しい選手の待遇やチーム事情、一方で今と変わらぬ選手の心理と成績。
事件解決後、再びスタジアムでの野球で終わる。おそらく野球をテーマにしたはじめてのミステリなのでは…。

四万人の目撃者有馬頼義を初めての作品であったが、予想外にいろいろな面で愉しめた。

F.v.シーラッハ『刑罰』読了

 ここのところの読書はもっぱら古書店の均一本(主に100円)の昭和ミステリーだったのだが、久しぶりの新刊、それも翻訳もの。

 フェルディナント・フォン・シーラッハ『刑罰』(東京創元社)を一昨日読み終える。
いつものことながら、一切の無駄を排したキレッキレの文章、これは翻訳の酒寄進一氏の訳との相乗効果もあるのだろう。
 生意気なことを言わせてもらえば、やっぱりこの作家は短編に持ち味がある。

 全12編の短編に凝縮された人間の心、社会の矛盾…、一遍一遍、読み終えるごとに背筋がゾワゾワとなる、その鮮やかな結末に脱帽。

 読んで楽しいワクワクするという話ではないが、読書の愉しみは間違いなく与えてくれる。

柴田錬三郎「今日の男」読了

 先週末に柴田錬三郎「今日の男」を読了。
 5月の2週目の新橋駅前古書祭りでゲットした中の一冊。
 これまで柴錬の眠狂四郎ものや「異常の門」など時代小説というかチャンバラ小説(こっちの方が合うような)は、大好きで読んでいるのだが、そうでない探偵小説はこれが初めて。

 主人公である気鋭の探偵小説家山河幾太郎が、そこそこの地方都市(静岡あたりか?)に事件の匂いを嗅ぎつけてやってくる。
 そのホテルで出会った謎の美女をとっかかりとして怪しい事件に踏み込んでいくことになる。
 この探偵は、言葉では言い表せないほど鋭い洞察と思考で事件の裏側にくいこむのだが…。
 どうもその鋭さが具体的に描かれることはほとんどなく、いつの間にか核心に近づいている。そのうえ、どこが魅力的なのかもわからないが、とにかく女にモテるのである。
 なにせスーパーモテモテ浪人、眠狂四郎を創出しただけあって、この山河もスーパーな探偵なのだ。

 講談社のロマン・ブックスという新書版のシリーズで2段組でそこそこのボリューム。前半のどこへ行くかわからない展開を我慢して読み進むうちに事件はどこが核心なのかわからなくなってしまう。
 一見すんなり進んでいるような感じがするのだが、実際はほとんど迷走状態。

 結局、山河の周りの美女たちの裏がスッキリしてフィナーレを迎える。最終的に「アレッ???」となり、なにやら狐につままれたか、狸にばかされたか…。

 あまり、柴錬の現代小説の評判を聞いたり、見たりしたことがないのが分かったような…読まずに済ませてもOKだ。
 期待はしてなかったけど、あまりといえばあまりな感じ。

どんと来い!大型連休

 
 世間では、間近にせまった10連休で浮足立って来ているが、実際に10連休できる確率は高くはない。
 それに、そういう状況で特別な予定もない。

 今の所、片付けをしたり、土いじりをしたり、近所へでかけたりの日々となる感じ。
 そのほかとして、古本を買い込んで空いた時間に備えることとした。
 それが、このラインアップ。

 これ以外にも数冊あるので、そこそこいい感じと予測している。

38年ぶりの「気分はもう戦争 3」


 今朝の朝日新聞に驚きの一面広告、なんと漫画アクション最新号の広告。
 あの大友克洋の「気分はもう戦争」の続編掲載だと。

 朝、駅のコンビニで早速ゲット。前に漫画雑誌を買ったのはいつのことだろう。
 前作から38年ぶりとなるのだが、意識してだと思うけど、その筆致は当時とほぼ一緒。
 最後のページに原作者、矢作俊彦の「Long Goodbye See You Soonだぜ」とあるので、遠くない将来、続編があるかも…20年後くらいか?

ポスターのおまけ付き、ほかには全く興味はない。
ばらして、表紙と「気分はもう戦争 3」だけにして、あとは読むこともなくゴミ箱行き。

 朝日新聞の広告も保存に回ったことは言うまでもない(笑)。

久しぶりの本の雑誌

 
 昨日、書店で本の雑誌4月号の表紙が目に飛び込んできた。

 発売日から時間が経っているのたが、特集の「昭和ミステリー秘宝館」の文字に引っかかってしまった。
 編集部には申し訳ないが、それほど分厚い企画でもないし、見送ろうかとも思ったのだが、「番付表」が気になって手にとってしまった。

 その番付表には最近ハマっている作家は、しっかり載っていた。
 記憶をたどってみると、本の雑誌を買ったのは5年くらい前の「東京創元社」特集だったような…。

新橋古書祭りの収穫


 仕事で鎌倉へいったその帰り道、新橋駅前で開催中の新橋古書祭りに遭遇。
 200円棚で4冊ゲット。

 日影丈吉「女の家」はうれしい。他にもこの手の新書が…結城昌治も数冊あったが、ゲット済み。
 笹沢ももう2冊ほど買っとけばよかったかな。
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  • Author:KsbcKSBC
  • 不惑の年をとうに過ぎてしまったオヤヂのモノローグ
    日々是、思いのままにならぬことばかり。そんなオヤヂの日々。

    読んだ本、手に入れたCDなんかについてだらだらと…。

    読んでいただいてありがとうございます。せっかくですから、何か書いていっていただければ幸いです。
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